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ふくしま12市町村ファンミーティングvol.1は六本木の「北欧料理リラ・ダーラナ」にて

 1月下旬、ふくしま12市町村ファンサイトは、初の会員様限定イベント「ふくしま12市町村ファンミーティングvol.1」を東京・六本木にある北欧料理「リラ・ダーラナ」にて開催いたしました。その様子をお届けします。

|ふくしま12市町村とスウェーデンの意外な類似点

 ふくしま12市町村は、相双(そうそう)地域の10市町村と中通り地方の2市町村が該当します。地理的には太平洋沿岸部と標高400mから700mほどのなだらかな高地が続く阿武隈高地(あぶくまこうち)にあり、海と山が混在するため、魚、肉、米、野菜や山菜、果樹など食材はバラエティに富んでいます。

 気候においては、東北と聞くと雪深く寒いイメージがあるかもしれませんが、太平洋沿岸部は比較的温暖で夏は海からの風で涼しく、過ごしやすい地域です。内陸部の飯舘村、川俣町、葛尾村、田村市は阿武隈高地の山間部のため、乾燥しがちでやや寒さは厳しいエリアです。

 今回、縁あってスウェーデンを中心とした北欧料理のレストラン「リラ・ダーラナ」さんで開催することになったのですが、スウェーデンと12市町村には多くの類似点があることに気づきました。

太平洋沿岸部と阿武隈高地にまたがるふくしま12市町村と北欧・スウェーデン

 スウェーデン国土の中部以北は森林地帯が広がり、南部は肥沃な平野となっています。 国土の大部分は寒い地域ですが、南部は北大西洋海流の影響を受け、高緯度にもかかわらず比較的温暖です。 そして、山がちな北部はほぼ農村部で人口もまばら。気候の厳しいスウェーデンでは、歴史的に保存食が多く、ニシンの酢漬けや魚や野生の肉の燻製、乾燥させたパンなどがその一例です。味付けの基本は塩と胡椒などで、やや塩味が強い印象を受けるかもしれません。

 12市町村でも鮭の遡上で有名な楢葉町の木戸川や浪江町の請戸川では、塩をきかせた「新巻鮭」を販売していた記憶があります。また、内陸部の阿武隈高地は畜産が盛んで、和牛の他にも仕留めた猪肉を提供する施設なども以前はありました。野生のキジや野兎なども生息していたので、ハンターたちには格好の猟場でした。スウェーデンも狩りの歴史が長く、トナカイや鹿肉を食べる習慣があります。このように、ふくしま12市町村と北欧・スウェーデンにはいくつもの類似点があることが伺い知れます。

|営農を再開した12市町村

 一時は全村避難を余儀なくされた12市町村ですが、徐々に営農を再開しています。川俣町の山木屋地区で小麦やライ麦を栽培している「ヤマキヤダーチャ」さんから自家製粉したライ麦を仕入れさせていただきました。ライ麦はスウェーデンでもメジャーな食材で、シェフが一番最初に関心を示した食材でした。お店ではいつも自家製パンを焼いており、小麦粉主体の白パンの他、北欧ではライ麦粉を多く使用した少し酸味のある黒パンもよく食べるそうです。

川俣町山木屋地区で栽培されているライ麦を自家製粉したライ麦粉

 黒パンは発酵がゆっくりで、焼き上がった後も熟成させるため、仕上がりまで数日間かかります。今回、川俣町の良質なライ麦が使用できるということで、黒パンを作ってくださいました。

焼き上がった黒パンは、数日熟成させる

 この黒パンを使ったお料理が「浪江産平目と川俣産ライ麦のサワーブレッドのオープンサンド ビーツとホースラディッシュのピューレ キャビア添え」です。薄くスライスした黒パンの上には、請戸漁港で水揚げされた平目のフリッター、そしてビーツやホースラディッシュのピューレが彩りも華やか。こちらのお料理には、2017年に川内村に誕生したかわうちワイン株式会社の「ヴィラージュ シャルドネ」を合わせてみました。このワインは標高650mにある自社畑のシャルドネを使用。すっきりとした酸がサワーブレッドと程よく合い、このペアリングはとても良かったです。

浪江産平目と川俣産ライ麦のサワーブレッドのオープンサンド ビーツとホースラディッシュのピューレ キャビア添え

北欧料理で食す、ふくしま12市町村

 こだわったのはお料理だけではありません。多彩な12市町村を感じてもらえるよう、ドリンクも色々と取り揃えました。かわうちワイナリーからは、先ほどのヴィラージュ シャルドネの他に、ロゼ スパークリング、ピノグリのオレンジワイン、ヴィラージュ メルロ、そしてピノ・ノワールです。さらに、田村市滝根町のあぶくま洞(鍾乳洞)で貯蔵した赤ワイン(ヤマ・ソーヴィニヨン)もご提供しました。

標高650mの阿武隈高地にある高田島ヴィンヤードで栽培されたブドウで醸造したワインなど

 さらに、川内村で昨年11月に蒸留所をオープンしたナチュラディスティルさんのクラフトジンも登場。ボタニカルジンというだけあって、植物由来の華やかな香りとバランスの取れた味わいで、こちらも大人気!今日は間近でお客様の反応を見ることができると、忙しい仕事の合間を縫って、代表の大島さんが川内村から参加してくださいました。

香りにこだわったクラフトジンは、女性のお客様にも大好評

 また、生産者ゲストとして飯舘村のニコニコ菅野農園の菅野クニさんにもご参加いただきました。クニさんが愛してやまないスーパーフルーツ「ナツハゼ」のシロップを使ったカクテルや広野町で栽培されたみかん100%の「みかんジュース」、そして楢葉町で有機栽培されている柚子果汁を使った「柚子スカッシュ」など、12市町村の食材の多様性が感じられるラインナップです。

震災後に生まれた特産品の数々、ドリンクでも12市町村を表現

 ニコニコ菅野農園さんからは、育種家のご主人が開発したじゃがいも「イーダテベイク」を使って、スウェーデンの定番料理である「ヤンソンスフレステルセ(じゃがいもとアンチョビのグラタン)」をご提供しました。さらに、飯舘村で畜産を再開した山田さん(肉のゆーとぴあ)の黒毛和牛のビーフシチュー、南相馬市産のお米「天のつぶ」とナツハゼジャムを使ったデザートなど、ほぼ12市町村の食材で構成された北欧ディナーコースは、12市町村との相性の良さを感じました。

 北欧料理の定番「ヤンソンスフレステルセ」をイーダテベイクで

 飯舘産黒毛和牛のシチュー

南相馬市産米「天のつぶ」のお米のデザート、ナツハゼジャム添え

このように、非常に多彩な食が楽しめるのは、紛れもなくこの地域で営農が再開された証です。風評被害に悩まされたこともありましたが、逆境にもめげず、力強く歩みを進めてきた生産者の賜物です。また、震災以降に新たに誕生した特産品もたくさんあります。

 そんな12市町村で活躍する生産者のお話を後編ではお伝えしたいと思います。

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 <関連情報>

【3/2(日)】大新橋おさかなセンターで福島を食らう!ふくしま12市町村ファンミーティングvol.2 開催!

取材・執筆:A.takeuchi /協力:magonotetravel

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